酒をつくる「鳳凰美田」醸造元 小林酒造を訪ねる~日光のテロワールを醸す~前編

日光のテロワールを醸す

日本有数の国際観光都市「日光」は、1999年に日本で10番目の世界遺産として登録されました。

古くから山岳信仰の拠点として栄えていましたが、徳川幕府によって日光東照宮が建立され、二社一寺と呼ばれる輪王寺、二荒山神社なども江戸時代に再建・造営され、絢爛豪華な国宝や重要文化財が数多く存在します。
また、華厳の滝などの多くの名瀑や四季折々の彩り溢れる大自然に囲まれ、人工美と自然美が調和する魅力があります。

日光のテロワールを醸す

自然豊かな日光の恵みのもと、美田と呼ばれるこの地で鳳凰美田は生まれました。

鳳凰とは古代中国の想像上の瑞鳥。竹の実を食べ醴泉を飲み、清らかな聖地にしか生息できないといわれます。
まさにこの日光の地こそ鳳凰が生息するにふさわしい聖地、このブランドからそのようなメッセージを感じます。

日光のテロワールを醸す

この度、鳳凰美田日光シリーズの発売に際し、醸造元である小林酒造を訪問する機会を頂きました。

「鳳凰美田ならではの風を感じたり、作り手の空気や香りのする日本酒を醸してゆきたいと考えています。そして、人にしかできない繊細な領域が鳳凰美田を醸すのです。」蔵元の小林正樹専務はそうおっしゃいます。

世界一流のワインと肩を並べるトップオブトップの日本酒ブランドを目指す鳳凰美田。日光のテロワールと伝統蔵の酒造りが産み出す魅力に迫りたいと思います。

【日光のテロワール】

日光のテロワールを醸す

鳳凰美田の醸造元である小林酒造は、初代から日光の二社一寺と深い縁がある酒蔵です。

「更に深い関係となったのは現社長の4代目小林甚一郎が栃木市にある太平山神社の小林珠子と結婚し、それによって鳳凰美田と栃木県の神社との関係が深まった」とのことです。
小林専務はその長男に当たり、幼少の頃から二社一寺に出入りし、日光の地に包まれながら育ち、暮らしてきたとのこと。

土地に根ざし「文化や慣習や風習など脈々と受け継ぐ、その事自体がテロワールそのもの」
小林専務はそうおっしゃいます。

土の色、草の味、岩清水の音、風の匂い、陽の光。そういった風土が日本酒の味わいに影響するといわれますが、その地に息づく人こそが日本酒の味わいを決めるテロワールであることを自ら実感されているのです。

日光のテロワールを醸す

「蔵の立つ土地を感じ、そこで育った自分を感じることが大切だと気付くこと。そして長年かけてどこまでも向き合い、その積み重ねがそのまま酒質となると思います。

一緒に酒造りをする社員や仲間も出会いとかご縁とかいう言葉で表現しますが…これもすべて美田村に生まれ育てられた自分にとって出会うことが決まっていた様にも感じます。
しかし、ただ待っていてもこれらの事は手に入りません…努力や様々な経験を経て、来る時が着ていつの間にか気付くと自然に持っている様に感じます。」

日光ブランドを支えるもの ~御神水~

日光のテロワールを醸す

「日光の水の魅力

 日光の取水場の上には何もありません。

 間違無く天上界に一番近い水です。」

日光のテロワールを醸す

観光客でにぎわう二社一寺から少し離れ、登ったところに浄水場があります。その浄水層には砂が敷き詰められ、自然ろ過が行われています。
日光東照宮の社務所には古くから水道局があり、こちらの水は御神水として使われるほか、日常用水として役立てられています。

小林酒造はこの水を仕込み水として使用しているのです。それは二社一寺との関係性がある故できること。
「この取水地は日本酒の水源として最も高い場所にあります。」と小林専務からご説明がありました。

日光のテロワールを醸す

2500m級の山に降ったばかりの雨は不純物をほとんど含まず、その水が急流で集まってくるため、硬度は限りなく小さい。まさに天上界からの恵みです。

この御神水は柔らかく繊細で、じっくりと発酵させる生酛造りや吟醸造りに適しており、上質な日光のテロワールを表す酒を造るための水となるのです。

日光ブランドを支えるもの ~ミズナラの原生林~

日光のテロワールを醸す

日光の二社一寺が所有する山林は白神山地や屋久島等に匹敵する古い原生林を保っており、ミズナラ、ブナ、ハルニレなどが自生する貴重な森林資源の宝庫です。

そこから調達できる良質な木材は日光ブランドにとってかけがえのない重要なもの。

世界的ブームで北海道のミズナラ樽の調達が困難となり、日光のミズナラ材を国内の稀少な樽メーカーで加工、調達できるのは小林酒造の強みです。

材木工場に置かれている太い原木は中心までしっかり乾燥しているので、歪まない。
この樽で熟成させることで、白檀のような甘くオリエンタルな香りを与え、重厚な味わいと繊細な余韻を酒にもたらしてくれるのです。

日光のテロワールを醸す

リキュール用の惣社蔵では250を超える様々な貯酒樽が静かに時を重ねています。
ミズナラ樽に加え、80年を超えるシェリーの古樽やバーボン樽、アマローネの樽など多様な樽が据え置かれ、存在感を示している光景は壮観です。

日光のテロワールを醸す

一般的に木が木材になる年数は、杉などの針葉樹が30年、
ミズナラを初めとする広葉樹は80年といわれます。

そこから長い年月をかけ天日干しで芯まで乾燥させ、ようやく樽材にできる。

日光のテロワールを醸す

日光市内にミズナラの植樹を行い、SDGsに基づいた持続可能な循環型ビジネスを目指していくとのこと。
その原木で樽ができるときには世代は変わっているでしょうが、次世代に地域ブランドを継承し、未来に夢を託すことの大切さを感じます。

日光ブランドを支えるもの ~酒米~

日光のテロワールを醸す

小林酒造のある土地は、美田村という名前のとおり美しい田んぼが広がっています。

水に恵まれたこの地では、田畑を潤す水は全て井戸水とのこと。

「あちらこちらの区画ごとにあるたくさんの井戸から汲み上げられた地下水は、網の目のように張り巡らされた水路をキラキラと流れています。」

日光の山々から流れ出る同一水系で栽培される酒米は、日光のテロワールそのものといっていいでしょう。

日光のテロワールを醸す

栃木県では地域の特徴を生かした酒米開発が行われており、近年注目される酒米が「夢ささら」。
高精白が可能な大吟醸向けの酒造好適米で、「山田錦」と「T酒25」を交配し、2018年に品種登録されました。

鳳凰美田日光は栃木県産「夢ささら」を使用し、栃木県オリジナル吟醸酵母を使用してone and onlyの価値を醸しています。

また、「栃木県の古代品種である「愛国」を栃木県と栃木県立北桜高校、栃木農業高校と連携して復活を目指して育種中です。」とのこと。 「愛国」は東北の「亀の尾」、西日本の「神力」と並び、明治~大正にかけて三大品種といわれたものです。

地域のものを地域と連携して育むことは、固有の酒米の復活だけでなく、優秀な酒米農家の育成も視野に入っているのでしょう。近い将来「愛国」が復活し、鳳凰美田として醸される日が来るのが待ち遠しいです。

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